『日本百名山』を著した深田久弥が雨飾山に登ったときには、現在の登山道はなかったそうです。
彼が登ったのは荒菅沢という沢を辿るルート。
今あらためて周辺の地形を眺めてみても、
荒菅沢を辿るルートは、自然がつくり出した地形の中で、雨飾山の山頂へと導かれる最も自然なコースに思えます。
きっと彼は雨飾山山頂の一点をもって百名山と呼んだのではないでしょう。
入山から山頂、下山に至るまでの全ての過程を通して…
いや、
深田久弥が初めてその山を遠くに眺め心惹かれた時から、2度の撤退を経て、3度目の挑戦にして辿り着いた頂…
時間的・空間的な広がりを持ったストーリーの果てに百名山と呼んだのだろうと想像しています。
荒菅沢から登る雨飾山、大事にしたいものです。